追いかけっこ(仮)
ゆっくり、私との距離を縮めていく風音。
私はバルコニーの端まで追い詰められる。
「追い詰めた♪」
風音はニヤッと口角を不自然に上げた。
私はとっさにポケットの中の、
“あるもの”を探り当てる。
風音が腕を振り上げると同時に、
私はそれを思いっきり引っ張った。
「ッ、龍樹……っ!!」
ビーーーーーッ!!!!!!
グイッ!!
「え……?」
防犯ブザーが鳴ると同時に、
私は腕を引っ張られ、
誰かに抱きしめられた。