追いかけっこ(仮)
龍樹は私の腕を引いたまま、
風音の屋敷を走り回った。
「どこ連れて行く気?」
私は怪盗Vの口調で龍樹に尋ねる。
「知らない。」
「知らないって……、」
「とりあえず、二人きりになれるところ探してる。」
龍樹は無表情で黙々と足を進める。
……。
グイッ!!
私は無言で龍樹の腕を引いて歩き始めた。
「華恋……?」
「二人きりになれるところ、探してるんでしょ。
穴場があるから。案内する。」
私はそれだけいうと、
その“穴場”に向かって歩き進めた。