追いかけっこ(仮)
癌だったらしい。
そんな素振り、
私たちには見せなかった……。
私たちは泣いた。
いっぱい泣いた。
そしてついに、
火葬の日がやってくる……。
本来は親族だけの火葬。
そこに、特別に私も連れられていた。
〈華恋ちゃん、おばあに最後のあいさつしてくれる?〉
風音の母親が私に百合の花を渡してそう言った。
私は、わけもわからずにおばあに近寄る。
ただ分かったのは、
“おばあとは、これが最後。”