追いかけっこ(仮)


癌だったらしい。

そんな素振り、
私たちには見せなかった……。

私たちは泣いた。

いっぱい泣いた。


そしてついに、
火葬の日がやってくる……。


本来は親族だけの火葬。

そこに、特別に私も連れられていた。


〈華恋ちゃん、おばあに最後のあいさつしてくれる?〉


風音の母親が私に百合の花を渡してそう言った。

私は、わけもわからずにおばあに近寄る。


ただ分かったのは、





“おばあとは、これが最後。”


< 86 / 195 >

この作品をシェア

pagetop