追いかけっこ(仮)
ガシャーーンッ!!
私の左腕が赤く染まる。
〈か、ざね……ッ、〉
私は驚愕の眼差しで風音を見つめる。
風音はフラフラと私に近づく。
〈華恋、知ってる?〉
〈な、にを、〉
怪我で痛みさえも分からないくらい麻痺する腕。
〈華恋のお家ってね、
代々私の家に使えてる家系なんだって。〉
〈ぇ……?〉
〈だから、華恋は私の使用人。
私だけの華恋なのよ。〉
ニコッと微笑んだ風音が怖くて、
私は背筋が凍った。