追いかけっこ(仮)
そのとき、強い風が吹いた。
「ッ!!」
風に煽られて、怪盗Vの体がグラリと傾く。
!!!!!!
「危なッ……!!」
グィッ!
ポスッ。
俺はとっさに怪盗Vの腕を掴んで、自分の方に引き寄せた。
「あ、ごめん、ありがとう。」
怪盗Vは礼を言って、
俺から離れようとする。
……。
俺は今だと思った。
カチャン。
「ッ!!」
怪盗Vがバッと俺の顔を見た。
「……ごめん。」
俺は小さく謝った。
怪盗Vは悔しそうに俯いて唇をキュッと結んだ。