何よりも君が愛しくて…
Prologue




雨の中、傘も差さずにびしょ濡れの、女の子がいた。

その子は、膝を抱えて震えていた。


…辛いんなら、そんなになる前に誰かに頼れば言いのに。


「大丈夫?」


そこに一人の男の人が来て、濡れない程度にしゃがみ込む。


少女は顔を上げ、無理に笑顔を作って頷いた。


男の人は、傘を少女に渡し、なるべく濡れないようにか、走ってどこかへ行ってしまった。



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