何よりも君が愛しくて…



「僕は、花川 たける、って言うの」


ゆっくり、小さい子でもわかるように、一つ一つの言葉をわけて言う健。
健は膝を曲げて、美月と目線を合わせながら、喋っている。
そんな姿を見ると、健は子供が好きなんだろうな、と思う。


「このお兄ちゃんはぁ?」


俺のことを指差して、ニコーと笑う美月を見ていると、胸が苦しくなった。


「松崎 らいと、って言うんだよ」

「らいと………?」


健が俺の代わりに、俺の名前を言う。
俺の名前を繰り返して、首を捻った美月。


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