戦場のガールズライフ～派遣社員奮闘編～
だけど、物事には順番がある。それは階段をひとつずつ上っていくように。こういう事務仕事においては特にだ。


まずは直属の上司に報告するべきだし、その上司の判断を最優先するべきだと思う。自分一人だけで仕事を進めていくわけにはいかない。いきなり社長に直談判するような真似だけはＮＧだ。それは、自分の上司の顔を潰す行為でもある。


「諸石さん、うちの課はこういうグレーの部分が多いんです。車造りの一番最初の工程にも関わらず、放っておかれてる部分が多いんです。他の課と比べて複雑だって言われるのはこういう所なんです。だから、その時その時の担当者の気まぐれな判断とかで何となくでやり過ごしたくないんです。お願いします」


私の仕事は現場の人たちが頑張ってくれている部分を数字にして表わすことだ。現場の人たちが安全性はそのままに、少しでも安く車を造るための努力を結果として報告するのが私の仕事。大袈裟かもしれないけど、私が正しい報告をしないとその頑張りはいつまでたっても見えてこないし、会社の利益にだって反映されないのに。


なのに…


「ごめん、三島さん。とにかく今は無理なんで」


どうしてわかってもらえないんだろう。
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