戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
『咲さん?』


返ってきたのは小さな声だった。その声が笑みを含む。


『元気だった?』


懐かしいと思うのは。
胸が痛いのは。
声が震えてしまうのは。
どうしてなんだろう?


「………うん。そっちは?」


『うん。とりあえず』


そこで声は途切れた。
私も言葉が続かない。


私はどうしていつも上手に気持ちを伝えられないんだろう。


本当は気になってたのに。地震のあった時、どうしてたのか。


それなりに生きてきたはずなのに。それなりに柔軟な対応だってできるようになったはずなのに。強くなったつもりでいるだけで、私は相変わらず私のままだ。


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