戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
みんなはパズルを完成させるように助け合い、声を掛け合いながらお引っ越しをしている。けれど、それを眺めている私の荷物には行く宛がない。ただ、みんなの邪魔にならないように空いた空間、隅っこに申し訳なさそうに置いてあった。


やっぱりこの時間に挨拶周りに行くことにしておいて良かった。ほっとして出て行こうとしたら、ちょうど後藤さんとすれ違った。


「おかえりなさい、後藤さん」


「すみません。ありがとうございます」


後藤さんの笑顔は生まれ育った故郷にでも帰って来たかのように晴れ晴れとしていた。実際そうなのかもしれない。やっぱり地元が一番いいんだろうな。私もそうだから。


「んじゃ、行ってきます」


「行ってらっしゃ~い」


彼女はこの先、ここでどんな風に過ごすんだろう。


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