戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
駐車場までは最低でも10分はかかる。まだ着替えてないし、忘れ物がないか確認してないし、ああ、しまった!岸谷さんにファイル渡さなきゃ!
こうなったらもう作業着の上からコートを羽織るしかない。冬で助かった。冬って素敵!
私は足下に置いてあったファイルを抱えて岸谷さんの所へ行く。
「岸谷さん、すみません。これ、私が持っていたファイル…」
「あ、はい。ありがとうございます」
ありがとうだなんて言わないでください。むしろ私のセリフです。むしろ、ごめんなさい~!
「あの、わからない所があったらいつでも連絡してください。私なら暇なんで…」
「はい。ありがとうございます」
私と岸谷さんは、もしもの時の為に連絡先を交換した。岸谷さんの性格からして困ったことがあってもきっと、メールはしてこないだろう。それに、わざわざ私に聞かなくてもここには大久保さんもいるし、私の前任者である後藤さんも戻ってくる。そうわかっていながら、形ばかりの連絡先の交換。これは私の自己満足にすぎない。
「すみません。充分な引き継ぎもできず…」
「こちらこそ」
「またご飯行きましょうね」
またも何も、私と岸谷さんは一度だってご飯を食べに行ったことはない。そのことはお互いに気付いてはいるものの、これも挨拶の一つだった。
こうなったらもう作業着の上からコートを羽織るしかない。冬で助かった。冬って素敵!
私は足下に置いてあったファイルを抱えて岸谷さんの所へ行く。
「岸谷さん、すみません。これ、私が持っていたファイル…」
「あ、はい。ありがとうございます」
ありがとうだなんて言わないでください。むしろ私のセリフです。むしろ、ごめんなさい~!
「あの、わからない所があったらいつでも連絡してください。私なら暇なんで…」
「はい。ありがとうございます」
私と岸谷さんは、もしもの時の為に連絡先を交換した。岸谷さんの性格からして困ったことがあってもきっと、メールはしてこないだろう。それに、わざわざ私に聞かなくてもここには大久保さんもいるし、私の前任者である後藤さんも戻ってくる。そうわかっていながら、形ばかりの連絡先の交換。これは私の自己満足にすぎない。
「すみません。充分な引き継ぎもできず…」
「こちらこそ」
「またご飯行きましょうね」
またも何も、私と岸谷さんは一度だってご飯を食べに行ったことはない。そのことはお互いに気付いてはいるものの、これも挨拶の一つだった。