戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
私は車通りの少ない道を見ながら、答える。
「彼、奥さんと別居中って言ってませんでした?」
前回、彼女の相談にのった時はそう言っていたことを覚えている。後藤さんはぎゅっとハンドルを握る手に力を込めて、目だけはまっすぐ赤信号を見つめながら言った。
「奥さん、子どもを連れて実家に帰ったって彼には聞いてました。離婚届を置いて。離婚するつもりだって言ってました。だけど、子どもは自分で育てたいって言って、話し合いをしてたらしいんです」
信号が変わる。後藤さんがアクセルをゆっくりと踏み込み、車は動き出す。
「だけど、最近、彼の様子がおかしくて…もしかしてって思って私、休みの日に彼の家の近くのスーパーで張り込んでたんです。そうしたら、彼の奥さんが買い物してる姿を見つけて…」
・・・・・張り込んでた??
私は思いもよらない単語の登場に、口には出さずに反芻する。
いやいや、まあ、まだ彼の家の前じゃなかった分、ヨシとするか。とか、甘いことを考えていたら。
後藤さんが一気に吐き出した。