戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~

「それで、どうするんですか?」


「彼のいない時に家に行って、奥さんに全部ぶちまけてやるんです」


「それで?」


「奥さんがどんな反応するのか。見てみたい」


「だけど、立場からしたら後藤さんの方が悪くないですか? だって後藤さんは彼が既婚者で子どももいるってわかってて付き合ったんだから。彼が別れる気もないってことくらい、知ってるじゃないですか」


「けど、悔しいじゃないですか。彼にも奥さんにも帰る場所があるなんて。そこで何もなかった顔して暮らしていくなんて、おかしくないですか? 奥さんも知るべきです。その上で、一緒に暮らすなら暮らすべきです」


なんだ、それ。一見筋が通っているようで通っていない。それが何か気持ちが悪かった。無理矢理こじつけられたみたいで。


当たり前か。無理矢理こじつけたんだもんな。だけど、彼女の中ではそれが一本の筋になっている。そのズレが気持ち悪かった。


こうなってしまっては何も言えない。けど、言う。


「私が何を言っても後藤さんは、衝動を抑えられないんでしょうね」


今までも何度か別れる機会はあった。それでも関係を続けてきたのだ。周囲の反対を押し切って。


後藤さんは感情的になると自分を止められない。それを恋と呼ぶのかどうか、知らないけれど。


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