戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
一通り後藤さんの話を聞いた所で私の家が見えてきた。ハザードランプをつけて後藤さんが道の端に車を寄せる。
「ありがとうございます」
「こちらこそ。いつも話を聞いてもらっちゃってすみません」
薄暗い車内で後藤さんの顔を見ると、あまりの生気の薄さに涙がこみあげてきた。知り合ったばかりの彼女はこんな顔をしていなかったはずだ。明るくて、みんなにも可愛がられて、大酒飲みで。
だけど不倫をするようになって、彼の望む女であることに徹するようになって、彼女は変わった。
後藤さんを見ていると懐かしい歌を思い出す。
「あなただけ見つめてる」
ケータイも彼と同じ機種に変えて、お化粧もしなくなって、誰とも出かけなくなって、彼の為だけに生きて …――
ねぇ、それって本当に幸せ?