戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~

一通り後藤さんの話を聞いた所で私の家が見えてきた。ハザードランプをつけて後藤さんが道の端に車を寄せる。


「ありがとうございます」


「こちらこそ。いつも話を聞いてもらっちゃってすみません」


薄暗い車内で後藤さんの顔を見ると、あまりの生気の薄さに涙がこみあげてきた。知り合ったばかりの彼女はこんな顔をしていなかったはずだ。明るくて、みんなにも可愛がられて、大酒飲みで。


だけど不倫をするようになって、彼の望む女であることに徹するようになって、彼女は変わった。


後藤さんを見ていると懐かしい歌を思い出す。


「あなただけ見つめてる」


ケータイも彼と同じ機種に変えて、お化粧もしなくなって、誰とも出かけなくなって、彼の為だけに生きて …――


ねぇ、それって本当に幸せ?


< 65 / 368 >

この作品をシェア

pagetop