戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
シートベルトを外し、ドアを開ける。その手前で思い出したように振り返ると、後藤さんは不思議そうに首を傾げた。
何かにとり憑かれたような顔をしている彼女に、私は何ができるだろうか。
「後藤さん、さっきの話ですけど…」
「はい。すみません、変なこと言っちゃって」
「いえ、大丈夫です。もしも、…もしも本当に奥さんの所に乗り込む時は言ってください。私も一緒に行きますから」
後藤さんの大きな目が、更に大きく見開かれるのを見た。
「一人で行かないで下さい。私が一緒に行きますから。絶対に一人で行かないでください」
すると、後藤さんはふっと笑って、
「ありがとうございます。」
その言葉の意味を、私は敢えて確かめようとはしなかった。