戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
「もし三島さんの言う通りなら、これまでやってきたこの仕事が全部間違ってたことになっちゃうから。そうなると、僕だけの判断で話は進められないんで」


「諸石さん、私は今までのことについてとやかく言うつもりはありません。直してほしいとも言いません。私はこれからのことを言ってるんです。ここで正しいやり方をきちんとしておかないと、間違ったまま原価を積み上げていくことになるんですよ」


「仮に今後新しくモデルチェンジしていく時に三島さんの言う方法でこの仕事を進めていくとしも、比較対象となる前の車と異なる原価の積み上げ方をしちゃうと、大きく差が出ちゃうでしょ。そうなると、大問題だよ」


「問題になる前に問題点を改善すればいいじゃないですか。今、こうして気付いたんだから。そもそも私は自分のこの疑問が本当に正しいのかどうかを確かめたいんです。何が正しいのか、それを知りたいだけなんです」


「ん~…」


これだけ言っても諸石さんが動いてくれる気配はなかった。へのへのもへ字みたいな顔してるくせに、頑固なんだから。私、そんなに難しいこと言ってる?


諸石さんのあまりに煮え切らない態度に、私のイライラは蓄積されていく。こうなったらもう、いきなり本社の原価担当者に同じ質問ぶつけてやろうかと思うくらいだった。
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