翼をください。
「もうちょっとでラストだったのにぃ!  
スッゴイいいところだったのに!!」

 俺の後ろでプンプンむくれる幼なじみ。

 「だってお前、読み始めたら止まんなくって、
一気に最後まで読むつもりだっただろ。」 

「その何がいけないの!?」 

外灯が少ない路地で、
俺たちを照らすのは月の光のみ。 

「今日は俺がいたからいいものの、
  こんな時間に一人で帰らせれるわけないだろ。」 

俺の言葉にはっと目を丸くした愛結は、
恥ずかしそうに下を向いた。
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