翼をください。
「聞いて聞いて聞いてーーっ!!」

次の日。

俺が部活から帰ってくるなり、
目を輝かせた愛結が詰め寄ってきた。

「な、どうしたんだよ。」

「見て!」

愛結がポケットからだしたのは、
時代が経って変色した紙。

「何、これ。
 また土屋さんの所で何か貰ってきたのか?」

「うん。
 ホントは本を探しに行ったんだけど、
 これ貰っちゃったら、
 本のことすっかり忘れちゃった。」

「……これ、何なの?」

嫌な予感しかしなくて、
その紙をじっと見つめる。

「宝の地図だよ~♪」

愛結は向日葵のような笑顔で言った。

「た、宝?」

「あ、馬鹿にしたでしょ!
 高校生にもなって
 まだそんなの信じてんのかって!」

俺が聞き返すと、
愛結はあからさまに不服そうに膨れた。

そんなことないって、と、弁解しながら、
愛結が手に持つソレが気になって仕方なかった。

「何の宝なんだ?」

その一言に大げさに反応した彼女は、
長いサイドポニーを大きく振り回して
くるりとこっちに向き直った。

……見事なドヤ顔だった。
< 15 / 23 >

この作品をシェア

pagetop