翼をください。
「ふっふ~ん♪
 なんだと思う?」

テンション上がり過ぎた幼馴染は、
黄ばんだ紙を振り回して言った。

その紙の動きに合わせて
視線を動かしながら、
紙を読み取ろうとした。

「聞いて吃驚!これは――「地図か?」

被せられたことにムカッとした彼女は、
俺の鼻先に紙を押し当てて叫ぶ。

「ただの地図じゃないのー!
 これさえあれば、
 私は夢を叶えることが出来るんだから!」
 

……え?

夢。
愛結の夢。

―――翼が欲しいんだ。

それは、小説の中で、
少女も願っていたことで。

小説とは違って一生叶わない夢のはずだったのに。

「小説に出てきた翼君の言ってた伝説は、
 これが元ネタだったのよ!」

まさか……。

だとしたら、
翼の『作り方』も同じなはず。

そして、愛結はソレを知らない。

不可能じゃない。

でも……

愛結の為に、
愛結の夢の為に、
俺は――……
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