翼をください。
「景!景ってば!聞いてるの?」

「あ、あぁ、ごめん。何?」

気がつくと、
彼女はググッと距離を縮めていた。

「だからね!空、飛んで見たくない?」

そりゃあお前の夢だろう……。
俺は、俺の夢があるんだから。

俺の返事が待ちきれなくなったのか、
愛結は急に真顔になって言った。

「私はね、翼が欲しい。
空を飛んで見たい。
空は自由で、悲しみがないんだもん。」

それは、こいつと暮らすようになった
13年間のうちに、聞き飽きてしまった夢。
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