翼をください。
「あ、そうだ。
今日、月妃(ツキヒ)の家で、
またなんか見つかったんだって。」 

「ホント!?
今日、帰りに行ってみる!  
ありがとう、お母さん。」 

目を輝かせる私を、
正面に座っていた幼なじみがじっと見ていた。  

「どうしたの?
顔に何か付いてるかな?」

「いや…何でもない。」

煮え切らない返事した幼馴染は、
さっさと二階に行ってしまった。

「愛結もさっさと用意しないと、
遅刻しちゃうぞ。」

ヨレヨレのネクタイを不器用に結んだ父が、
玄関から顔を出していた。

「わっ!ホントだ!」

私が慌ててポテトサラダを詰め込むのを見送ると、
父は一言
「行ってきます」
とだけ言って家を出た。

「俺たちもいくぞ。」

食器を片付ける私に、
私の荷物もバッチリ持ってきてくれた幼馴染は、
相変わらずの無愛想でそう言った。

< 2 / 23 >

この作品をシェア

pagetop