【短編】大空に舞う一輪の花のように
「久しぶり…、ホントに心配したんだからね」
そう言うと、彼女は優しく笑ってくれた。
「…うん」
俺が一人で暗くなっていると、不意にケンが口を開いた。
「でも、寛太そんくらいの怪我ですんでよかったじゃん!トラックだったんだろ?」
これはきっと、落ち込んでる俺への、
ケンの精一杯の気遣いだったんだと思う。
だけどその言葉は、また俺を沈める。
「インターハイなんて間に合わなくてもさ、大学入ったら腐るほど――
「ケン!」
気が付いたら、俺はケンの話を止めていた。