【短編】大空に舞う一輪の花のように
次の瞬間、何かが俺の頬を伝った。
ポツン、ポツンと、ベッドに次々こぼれる。
とどまる気配のないそれは、瞬く間に俺の顔をグシャグシャにした。
その時、なにかが俺の顔を包んだ。
それはケンの腕。
前まで、一緒にインターハイの夢を見ていた親友の腕……。
「俺、もっとみんなとバスケがしたかった……」
不意に、誰かが鼻をすする音が聞こえた。
俺が顔をあげると、みんなの目に何か光るものがあった。