【短編】大空に舞う一輪の花のように
それからしばらくして、ケンたちは帰った。
あれからはたわいない話しかしなかったけど、それでだいぶ心が潤った気がした。
コンコン…
不意に、病室のドアが鳴った。
「はい…」
俺がそう返事をすると、そこから昨日の松田先生が顔を出した。
「気分はどう?」
そして唐突に口を開いた。
その言葉は、今の俺にはただの皮肉に聞こえた。
「良いわけないっすよ…」
そのせいか、少し反抗的な口調になる。
「バスケ…、してたんだってね…」
「はい…」
「残念だったね…」
「はい…」
「もっと、バスケしたかったかい…?」
「はい」
それは松田先生なりに俺に気を使った言葉だったんたろう…、
でも、俺の答えは淡白だった。
だけど、そんな松田先生の次の言葉が、
俺に希望を与えてくれたんだ。
「また、バスケが出来るって言ったらどうする…?―――