【短編】大空に舞う一輪の花のように


それからしばらくして、ケンたちは帰った。


あれからはたわいない話しかしなかったけど、それでだいぶ心が潤った気がした。







コンコン…



不意に、病室のドアが鳴った。



「はい…」


俺がそう返事をすると、そこから昨日の松田先生が顔を出した。



「気分はどう?」


そして唐突に口を開いた。



その言葉は、今の俺にはただの皮肉に聞こえた。



「良いわけないっすよ…」



そのせいか、少し反抗的な口調になる。



「バスケ…、してたんだってね…」



「はい…」



「残念だったね…」



「はい…」



「もっと、バスケしたかったかい…?」



「はい」



それは松田先生なりに俺に気を使った言葉だったんたろう…、
でも、俺の答えは淡白だった。



だけど、そんな松田先生の次の言葉が、
俺に希望を与えてくれたんだ。




「また、バスケが出来るって言ったらどうする…?―――
< 25 / 36 >

この作品をシェア

pagetop