【短編】大空に舞う一輪の花のように
――
からっとした暑さ。
そしてそれをさらに増させる蝉の声。
今日は、俺いるのバスケ部の決勝戦がある日。
俺は今、市内の体育館に来ていた。
なれない車椅子で方向転換していると、朝比奈さんが後ろの取っ手を持ってくれた。
そしてそのまま体育館の中まで押してもらう。
体育館に入るとそこは熱気であふれていて、
「懐かしいなぁ…」
俺がそうこぼしていると、前から見慣れた集団がやってきた。
「よぉ寛太!見に来てくれてありがとな」
「見に来るに決まってんじゃん!」
そう言って笑って見せる。
なぁケン…、俺は今、うまく笑えていますか?