【短編】大空に舞う一輪の花のように
scene final-大空に舞う一輪の花のように。
――
あれからしばらく時間が経った。
試合はもう終盤に入ったところだった。
点差は、
59-89
30点差で負けていた。
残り時間は3分弱。
物理的に無理な点差。
そんな中でも、必死にプレイするケンの姿はとても格好良くて、
俺を嫉妬させた。
周りを見渡すと、監督や朝比奈さんの目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
「まだ行ける!!行けるぞケン!」
俺が今日一番の大声を出すと、ケンはこっちを振り向いた。
「ったりまえだ!」
そしてまた目線をリングへと向ける。
そうだ……。
そうだった…。
俺たちは止まっちゃいけないんだ。
今更に、大切なことに気付かされた……。
ケン…、俺…決めたよ……。