【短編】大空に舞う一輪の花のように
それから時間は過ぎ、
気づいた頃にはもう卒業式だった。
――――じゃぁ、これで最後のHRを終わるぞ」
担任の沢波先生の声がする。
「起立!気をつけ!礼!」
それから学級委員の声がして、少し遅れてみんなの声が教室に響いた。
『ありがとうございましたぁ!!』
卒業式って言っても、小中学校とあまり変わらなかった。
卒業証書もらって、……そんくらい。
あ、でも十年後の自分に手紙を書いたのは初めてだったな……。
おもしろかったけど、何であえて卒業式の日に書かすの?って感じだった。
そう言えば、みんな泣いてたな…。
ケンや、朝比奈さんも…。
まぁ俺は泣かなかったけど。
だって、大学に入ったらやっと車椅子バスケが出来ると思うと、
ワクワクしてしょうがないんだ。