【短編】大空に舞う一輪の花のように
俺が列の後ろの方に並んでいると、ふと、
右肩に軽い力が加わった。
「よっ。全国制覇すんだろ?頑張ろうぜ!」
こいつは確か…
「えっと、…沢村だっけ?」
「おぅ、ケンって呼んで!」
そう言うと、沢村は笑った。
「わかった。じゃあ俺のことも寛太って呼べよ!」
そして俺も、彼に返すように笑った。
「にしても、初めて会ったぜ…」
不意に口を開くケンに、俺が「何が?」と尋ねた。
「俺以外に全国制覇とか言うやつ」
「ははっ、俺も初めてだよ」
俺が答えると、ケンも「だろうな」と返して笑った。