【短編】大空に舞う一輪の花のように
それから数ヶ月が経った。
数日前に、3年の先輩たちが最後の試合を終えて引退した。
そんな、ある夏の日、
「集合集合!」
監督が、練習中に俺たちを呼び集めた。
「今日新しいマネジャーの子が入部してくれたから、自己紹介してもらおうと思う」
そう言うと、監督は隣に居る小さい女の子の肩をポンと叩いた。
俺はその女の子の方へと視線を向けた。
すると次の瞬間、俺の中の何かが、
音をたてて動き出した。
ドクン…ドクンと軽快なリズムを刻むそれは、俺の全身を駆け巡り、
ただでさえ熱い俺の体をさらに火照らせた。
「はじめまして、一年の朝比奈小百合です。これから宜しくお願いします」
透き通るような声で、笑いながらお辞儀をする朝比奈さんに、
俺は釘付けになっていた。
一目惚れ、
これが俺の初恋だった。