【短編】大空に舞う一輪の花のように
俺が勢いよく答えると、監督は微笑んでみせた。
「そっか。良いことだな…」
そしてそう言って俺の頭を軽く叩くと、背中を向けてその場から去っていった。
「失礼しま〜す」
と、俺も監督の背中に一礼した。
「何話してたんだ?」
聞き覚えのある声と共に、不意に肩に重力がかかった。
後ろを振り向くと、そこにはケンの姿があった。
「別になんでもねーよ〜」
俺が笑いながら答えるのを見ると、ケンは「ふ〜ん」と言って、
「帰ろうぜ」と付け足した。
俺もそれに頷くと、帰り支度を急いだ。
俺は今、心からバスケが楽しいと思える。
本当に全国制覇を夢見れる。
それは、ケンや朝比奈さんや、監督や、
俺を支えてくれるみんなのおかげ。
みんながいてくれたから、俺はここまでバスケを頑張ることができるんだと思えた。
俺はホントに、今が幸せだと感じた。
でも、俺のそんな日々も長くは続かなかった。
それは、ある噂を耳にしてしまったから…。