【BL】トケユク、ボクラ。
濡れた素肌
窓を眺めていた。
外は雨が降っていて、ぱらぱらと硝子に雫が垂れる。
小さな雨粒が、寄り添い落ちていくのを、飽きもせずに見ていた。
ベッドサイドの小さな窓にかかる、白いレースのカーテンを、全開にして。
気まぐれに、内側からそっと指先で触れては、水滴がつくる流れを辿る。
滑らかな硝子なのに、時折角度をつけて落ちて行くのが不思議だった。
思った道を通らないのは、なかなかに楽しくて、時間潰しには丁度良い。
白く、よくアイロンのあてられたシャツを着ていたが、黒のほうがいいかもしれない。
窓硝子の反射が、折角のゲームに水をさすから。
「起きたのか」
背後から、掠れた声がかかる。
振り返らなくてもわかる。この部屋の主で、僕の恋人である颯だ。
「起きてたのか、でしょう」
窓を眺めながら応えると、後頭部の髪をさらりと颯の指先が掬った。
< 1 / 6 >