【BL】トケユク、ボクラ。


「難しいことは、俺にはわからないな」

颯の薄い唇の隙間から、くぐもった笑いが聞こえる。


「嘘」

僕が、瑣末な言葉遣いを気にすると知っていて、わざとぼかしたのだろう。

颯の方を向くように。

期待に応えるべく、先に視線だけを向けると、目を細める颯の顔が見えた。


「なに?」

緩慢に問いを投げかけると、颯はゆっくり、僕がうつぶせになって陣取っているベッドに、膝をのせた。

伸びた腕は僕の脇に周り、背中から抱え込むようにして耳元で囁く。


「奏が俺のシャツを着ると、随分と扇情的だなと思って」

「変態」

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