【BL】トケユク、ボクラ。
その返しが気に入ったのか、ククッと笑う。
「このシャツ、首周りが伸びてるから、奏だとだいぶ緩いな」
「……っ」
首筋へと不意に落とされた唇に、電流が走った。
詰まった息に、颯が気付かない訳もなく。
僕が抗議の視線を向けた先には、悪戯な瞳が欲に濡れていた。
言葉を発する代わりに、熱を帯びた唇が這う。
「颯……」
いつからこんな関係になったのか、付き合う切欠になった事を、僕らは覚えていない。
そもそも、付き合っているのかもわからなかった。
いつの間にか一緒にいて、それがいつの間にか自然になったという、それだけの繋がり。
僕はこうして時々、颯の部屋に来て、なんとなく肌を重ね合う。
愛があるのか確かめるためではなく、欲望を満たすため。ただそれだけに。