【BL】トケユク、ボクラ。
仕掛けてくるのはいつも颯だけど、受け入れる僕もそれを待ってる節がある。
こうして颯の温もりを感じたいから、僕はこの部屋に来るのだし。
「奏は腕も細いな」
首筋を声でなぞりあげる。
半袖シャツの袖口から、するりと指先が侵入してきた。
「あっ……」
頂を掠めた指の腹に、甘ったるい声が漏れ、僕は自らの口元に、手の甲を押し付けた。
やんわりとそれを外し、颯は囁く。
「雨音で、聞こえない」
袖口から指を抜き、シャツを捲り上げる。
「丈も長いな」
五指を滑らせて背中をまさぐり、徐々に息の上がる僕を組みしだきながら、器用に仰向けにさせた。
僕は、下は濃灰のジャージで、颯は黒いV字シャツと、ブラックジーンズ。
こすれあう欲が、もどかしい。
僕の唇に、颯の唇が落ちた。