大嫌いです、わりと本気で
「さーくらー!!」
放課後、まだざわざわと人が残る中響く声。
聞き覚えのある声且つ自分の名前を呼ばれて重たい溜め息を吐く。無視したいのをぐっと堪えて振り返れば、キラキラと満面の笑みを浮かべた179センチが手を振りながら歩いていた。
「さくら!」
「うるさいですね。黙ってください」
何故か隣に並んでもう一度名前を呼ぶ。こんな所で人の名前を叫んだりして。
いつものこととは言え、それなりに恥ずかしい。
大体、気安く呼び捨てにしないで欲しい。
ーーまるで私とこの人が仲良しみたいじゃない。
そんな自分の思考にぞわりと不快感が襲う。
何度言ってもやめてくれないこの行為が最近の悩みの種だ。
しかも、
「ふっ…、素直じゃねぇな」
「私は常に自分に正直ですが」
そのポジティブさが腹立たしい。