嘘。からの恋!
「どうして…、どうして魁人なの…」
喧嘩する相手なんかいっぱいいるはずなのにどうして魁人なの…。
「明石、あいつの過去を教えてやろうか」
若附君が私に近寄る。
「き、きたくない…」
私は大きく首を横に振る。
それでも若附君は静かに話し始めた。
「あいつにはな、大好きな大好きな彼女がいたんだよ」
魁人の元カノ…?
「でも、俺もそいつが好きだった。そいつは俺とあいつの幼馴染だったんだ。付き合ってるこいつが憎かったさ。いつ別れてくれんのか待ってた。ある夏休み、家に電話が来たんだよ。そいつが事故で死にました。ってな」
…死んじゃったの?
「その死んだ理由ってのがあいつのせいだったんだよ。俺はどうしてもあいつが許せなかった。だから文句言いに家に行ってやったんだ。そしたらあいつなんて言ったと思うか?「仕方がねぇじゃねぇか」って涙も流さずにそれだけ言って俺を追い出した。あの日から俺はあいつに復讐するためだけに生きてきた」
切なそうに話し終えた若附君は、なんとかこぶしをよけている魁人を睨みつけた。