小野さんとさくらちゃん
3日後――

学校から帰ると家の前に人影があった。

小野さん、元気になったんだ。


「どうしたんですかー?」

ブレーキを鳴らしながら次第に減速し、小野さんの前でピタリと止まる。よし。

「この前はありがと。まじ助かった、ありがとう。」

差し出された袋には、桜の花びらがモチーフのハンドタオルが入っていた。

「そんな、いいのに。」

「や、気持ちだけだから受取って?じゃあ。」


すっかり元気になった彼に手をふりながら、もう片方の手でタオルを抱きしめた。

さくら柄なんてギャグだろうか、それともわざわざ選んでくれたのだろうか。

部屋に続く階段を一歩ずつ登りながら、大切に、大切に使うことに決めた。




「オムライス」おわり
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