小野さんとさくらちゃん
小野さんとは町会が同じで、昔家族ぐるみでお付きあいをしていたので、お葬式にも来ていただいていた。

「小野さん…っ。」

涙で言葉にならない。


「今、家?すぐ行くから。」

「や…っ。えき、まえ…です。」

それだけのことをやっと伝えて、再び溢れだす涙を何度もタオルでおさえた。


改札から出てくる人が、驚いた顔で振り返る。

こんな姿を見られるのは嫌だ。ひっくひっくと喉を鳴らし、壁を向いて泣いた。

すると、何者かが私の頭をこつんと叩く。

「ばか。一人で泣くな。」

本当に、本当にすぐ駆け付けてくれた。

小野さんの大きな手が私の髪を撫でる。あたたかい。

「ここだと…だから、公園行こう、な?」

こくんと頷き、無言で後に付いていく。自転車は小野さんが押してくれた。

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