小野さんとさくらちゃん
「そうかな。」

小野さんは立ち上がり、桜のつぼみに手を伸ばす。


「俺は…さくらちゃんが毎日楽しく過ごしてることが、最高の親孝行だったと思うよ。」

小野さんの隣に立ち、同じく桜を見上げた。

私はこの桜みたいに立派じゃない。でも、こんな娘だけど今日も元気にやってるよ、お母さん。


「小野さん…ありがとう、ございます。」


言い終わった瞬間、私の身体は甘い匂いに包まれた。

小野さんに、抱き締められたのだ。

うそ…


甘い香りに頭がくらっとする。


「さくらちゃんが、好き。」


え…?

小野さんは…私のことが、好き。

なんだ、両思いなんだ…

意外にも落ち着いている私は、もっと安心感が欲しくて、彼の肩におでこをぴったりとくっつけた。


「ね、さくらちゃん…」
「いや、さくらは…嫌?
さくらを守るの、俺じゃ駄目?」

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