天使の強がり【短編】
君の前では。
「ぎゃー!本当にもう律のお世話にはならない!」

「プッ」

「なんで笑うの!」


私、高校三年生の宮本亜紀。


隣で一緒に勉強しているのは、1個下の中沢律。


私の、彼氏。


「いや、亜紀が俺に頼らないで勉強するんだ~と思ったら感心しちゃって」


いや、絶対この人感心してない!


口元を少しあげて悪戯に微笑んでいたのを私は見逃さなかったんだ。
バカにしやがって。


「絶対、一人で数Ⅱ60点取ってやる!」

「なんなの、その中途半端な目標点数。」


律は、年下のくせして私にひどく生意気。


まあ、この口の悪さは、昔からのことなんだけれども。


律とは小学校からの幼なじみで、家が近所ということもあり、家族ぐるみで仲がよかった。


でも律は私と違って頭がよく、高校にも成績トップで入学したほどの男。


頭の悪い私は、大学受験のために年下の律から勉強を教わっていたのだ。


だけど、その教え方ときたら、もうヒドイときた。
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