天使の強がり【短編】
今日もいつも同じように私の家で勉強していた。


「いつもごめんね、律くん」

「いえ、いつものことですから」


お母さんが私の部屋に入って律にお茶を出した。


それににこやかな表情で答える律。


その微笑みに思わずキュンとしてしまう。


私にはそんな顔ほとんどしたことないくせに。


律は、私に対しては口が悪いくせに、他の人の前では何とも言えないくらいの良い子ぶりを発揮するのだ。


…律は、モテる。


成績抜群な上に、少しあどけなさも残るきれいで整った顔。艶やかでサラサラの黒髪。


そんな男の子に微笑みかけられたら、女の子の目は一日中ハートマーク間違いなし。


律が入学した時の周囲の反応は、ただならぬものがあった。


『必殺・天使の微笑み!』なんて技名をつけられたほど。


そんな男が今では私の彼氏となって隣に居る。


うらやましいとも言われるが、みんなコイツの裏を知ったらひくんじゃないかな。


ま、でもそんな生意気な男を小学校の時から好きなのは、私ですが何か?


「うぅー、お茶来たしちょっと休憩し…」

「まだこの問題終わってない」


バコッと頭を参考書で叩かれた。
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