天使の強がり【短編】
「最近、どう?勉強律くんに教わってるんでしょ?」

「…律にはもう教わんない」

「え!?模試の成績上がってきたって言ってたじゃない」

「それはそうだけど、ストレスが溜まるから」


もう季節は秋の真っ只中。11月にさしかかろうとしていた。

律と喧嘩?(私が一方的ってことは分かってる)みたいなことをしてからもう1週間がたとうとしていた。


あれから律は、家には来ていない。


だけど、私の勉強もはかどってはいなかった。


もう、意地の張り合い状態。


友達のるっこはそれを聞くと、すごくビックリしていたようだった。るっこもまた、律の裏の顔を知らない人物だったからだ。


「だけど、あれだね。それって亜紀にしか見せてないってことじゃん。そーゆーの、私うらやましいな」


さらっと口に出して言う台詞。


だけど、私は全然うらやましがられるようなもんじゃない、としか思えなかったので、話を変えた。


「もう本当に寒くなってきたねー」


そう言って、窓際の席から窓の外を見上げる。


見上げた空には灰色の雲が立ち込めていて、なんだか気分が暗くなった。


「本当っ。てゆーかもう少しで学校にも行かなくてよくなるからねー」


そうだ。もう少しで卒業しちゃうんだ。


律とこの学校で過ごせるのもあとちょっとなんだ。


だけど、律とは1週間はしゃべってなくて。


大切な時間だったはずなのに。


高校生活も終わりを告げるというのに、私は何をやってるんだろう。


勉強も中途半端。


なんか、何もかもが中途半端。
< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop