天使の強がり【短編】
その日、家で一人では勉強出来ないと気づいた私は(ちょっと遅い)、図書館に寄って勉強することにした。


図書館を出ると、もう11月にもなるから、7時前なのに辺りは真っ暗だった。


肌に冷たい空気が当たり、手袋を忘れてしまったため、ひどく手がかじかんだ。


「あ…律」


もうちょっとで家、というところだった。


反対方向から歩いてくる律と、家の近くにある公園の前でばったり遭遇してしまった。


家が隣同士なのに、この喧嘩している期間、一度も会わなかった私たち。


なんだか久しぶりすぎて、異様な空気に包まれた。


「…」


あぁー、律、なんだか機嫌悪そうだ。


私を細めで睨んだまま何も言ってこない。


会ったら謝ろうと思っていたのに、そんな風に睨まれると、なんだか怖くて言葉を言い出せない。


でも、ちょっと怖いが、やはりその顔はきれいだ。


律は私服姿で、白いパーカにジーパンをはいていた。


なんだか鼻の頭がほんのり赤いように見えた。


暗がりで公園の前の明かりだけが私たちを包む。


「…模試の結果、返ってきたんでしょ?どうだったの」
< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop