恋した私と俺様王子

入学式と五月

「うぅ~!!髪がまとまらないよぅ~!!」


 そう言って急いで家を出ようと靴を履く。
 奈美は髪をポニーテールにくぐろうと一生懸命だった。
 今は、桜咲く季節。即ち入学式の当日。
 【朱夜 奈美】
 入試をやっとの思いで受かった新中学一年生。
 制服を新調して二日経って着れた。
 中学では、小学校からの友達も居る。
 背は中一では高い方で、顔もそれなりに整っている。
 小学校を出て、中学になると同時に髪を淡い甘栗色に染めた。


「奈美遅いで!!何時まで髪くくんのに時間かけてんの??」


 この子は奈美の親友。
 関西出身で小学三年のときに此処に越してきた子。
 家庭の事情もあり今は兄貴と二人暮らし。
 赤茶色のショートヘアーが特徴的で、奈美よりかは、背が低い。
 【神姫 小雪】
 奈美と同じ中学に通う奈美の一番の友達。
 現在進行形で年上の彼氏も居る。
 噂では、同じ中学の野球部とか・・・・・・。

 小学校では、色々奈美と問題を起こしてきた地元一の問題児。
 けれど良い面もある。
 捨て猫を学校で飼う事になって、最前線で子猫の世話をしたのが
 この2人なのだから。


「小雪ぃ~。 今何時ですかっ♪」


 そんな風に言って小雪に抱きつく奈美。
 小雪はそんな奈美の質問に携帯を出して、時間を見た。


「七時十五分。 此処からやとそんなに時間はかからんけど・・・
 遅刻はすると思うで。」


 そう答える小雪に奈美は数秒止まるが、すぐに焦る様な顔になり、
 焦って小雪の手を取って走り出す。


「小雪も早く走れぇぇ!!入学しょっぱなから遅刻とかやばいだろっ!?」


「ッチ。しゃあないなぁ~。」


 そう言った声とは裏腹に小雪の顔は嬉しそうな顔をしていたのだ。
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