年をとらない少女の物語。
ハジマリ
長い、長い民衆の列・・・。
その先頭に立っている、ひとりの少女。
あの、丘の夢の少女だ。
少女は、丘の夢のときの長い髪でなく、首にちょうどかかるような短い髪になっていた。
身に着けているのは、鎧。その脇には、短剣。戦闘用と思われる馬に乗っている。
「・・・待っててね・・・。カイル、もうすぐ貴方の敵をうつよ・・・!」
そう、少女は独り言をつぶやいた。
その脇にいる、同じ年頃の少女。
「ねぇ、ベニカ。この革命、終わったらどうするの?」
ベニカ。どうやら、この少女はベニカという名前らしい。
「・・・もう、決めてある。革命が成功したら、言うわ。」
「・・・・・・そう。でも、失敗したら?貴方のその後が聞きたいわ。きっと、すぐに首を跳ねられてしまうでしょう?貴方も、私も・・・。」
少女は申し訳なさそうにベニカに言った。
「・・・そうね。じゃあ、申しておこうかな・・・。アイリス、あのね。」
「うん。」
アイリス。もう1人の少女はアイリスという名前らしい。
ベニカは話を続けた。
「・・・アイリス、貴方は、最高の友達だったわ。この革命に、迷う間もなく賛成してくれて、こんなに人集めてくれて・・・。本当に感謝している。世界で1番、幸せになってね。」
「そんなコト」
「私は、革命が終わったらすぐ死ぬわ。」
そう言ったベニカの表情は、笑っていた。いや、泣いているような、笑っているような、そんな表情だった。
「・・・え?え、あ、う、嘘でしょ?貴方ってば、昔から罪のない嘘好きだったものね・・・!」
「アイリス。わかって。」
ベニカは、真剣な表情でアイリスに言った。
「・・・・・・わかった。・・・貴方の人生は、貴方で幕を閉じなさい・・・それが、自分にとってもいい方法でしょうね・・・。」
「うん。ありがとう。」
ベニカは優しい笑顔になって、言った。
「さぁ、行きましょう。革命英雄、ベニカ=アランさん。」
「そうしましょうか。もう1人の革命英雄、アイリス=グラフティさん。」
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