年をとらない少女の物語。
明日、カイルが戦争に行く。
ナイリス国が相手なんて・・・一体、どんな天罰が下ることか・・・。
「・・・不安か、ベニカ。」
カイトが話しかけてきた。
「・・・やっぱり、嫌だ・・・もう、あんなつらい寂しい思いなんて、したくない。帰ってきてたった3日で何て・・・!」
「・・・わかってくれ・・・!!」
「わかってる!」
私はカイルの胸に抱きついた。

嗚呼・・・もしかしたら、もう永遠にこの体温を感じていられないのかも。

「うわあああああッ!!」

私は泣き崩れてしまった。



生きて、還ってきて。


もう、それを願うことしかできない・・・。

「・・・じゃあ、行って来るよ。」
カイルは帽子を深くかぶり、私を見て言った。
「・・・生きて、還ってこなかったら、ころしちゃうよ?」
震える声で言った。
でも、せめて、見送りくらいは笑顔で。
「ははっ。それじゃあ怖くてしないな!」
カイルの・・・この無邪気な笑顔・・・。
もう二度と、見えないなんて思いたくなんか・・・。
「カイルッ!いってらっしゃい!」
カイルは、切ない笑顔で私を見た後、王宮めざし歩き出した。
背を向けたまま、もう振り向かなかった。


それが、私が生きたカイルを見た最後だった。
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