年をとらない少女の物語。
「ベニカ!夕飯、何にしよう?」

あれから、私達はひとりぼっちになり、アイリスと生活を共にしている。

私、ベニカ=アランと、私の旦那、カイル=アランと、
この子、アイリス=グラフティ、アイリスの旦那、クラウス=グラフティ
は、幼い頃からの幼馴染。
カイルとクラウスが24歳。
アイリスと私が、23歳だ。
小さい頃から恋仲だった私達。
今のマリア王女の母親、エリマ旧王女様は、とても心優しい方で、
平穏な日々だったんだ。
このままずっと、あの平和が続くと・・・思って、いた。
だが、エリマ旧王女様が、不治の病で急逝。
一人娘のマリア現王女が、後を継いだのだ。


「ベニカ・・・カイルきっと帰ってくるよ!」
アイリスはずっと私を励ましてくれた。
アイリスだって、クラウスがいないのは、つらいはずなのに・・・。
「・・・そうだね・・・。」
そう、言い切れない。
相手は神だ。
もはや、台風の嵐の中、船を出すのと一緒だ。



「・・・あら、何かしら。」
ある日、私達が生活を共にしているアイリスの家に、手紙が届いた。
「・・・!!!クラウスからだわ!」
「!?」
確かに、そうだった。
いや、違う。


【ローズ国 親衛隊長 ルール=マルシェン】

親衛隊長から手紙がくるのは、“よほど”のコトがあるときしかこない。
じゃあ・・・その“よほど”のコトって・・・!!


「・・・あっ、ああっ・・・・・・!!」
アイリスが泣き崩れた。
やっぱり・・・!!
「いやああああああああッ!!」
しばらくして、隣の家からの婦人の悲鳴が聞こえた。
いっせいに電報が来たのだろう。じゃあ、私のところにも・・・?
「ごめん!アイリス!私、家、行って来る!」
「・・・う、・・・・・・ん、・・・うわああッ!」
アイリスを独り残しておくなんて・・・。ごめんね。
だけど・・・。


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