年をとらない少女の物語。
チッ、チッ、チッ・・・・・・。
時計の針は、5時20分を指していた。
そろそろ出ようかな...。
待たせるのはあまり好きじゃない。


グラウンドでは、野球部、サッカー部がまだ練習していた。
あ、転んだ。
中学校・・・本来なら、もうとっくに卒業してるのか・・・・・・。
ずっと、小6のまま。

自転車のサドルから下り、自転車を押しながら土手をゆっくり歩く。


・・・思えば、私は何のために生きているのだろう・・・。
何年、何十年、何百年生きても、見つからない。
消えて見えなくなったあの面影を探したまま・・・。
何を思い、誰を想い、生きてきたのだ?

わからない。


私は、自分のことなんて、何にもわかりはしないじゃないか・・・。



「礼ちゃん!!」
ビクッ!
自転車を押している後ろから、声がした。
この甲高い声は・・・もしや。
「来てくれてありがとう!」
そうだ・・・綾部真紀。
「・・・よいっしょ。自転車って、重くって、大変だよねー!」
綾部真紀は、自分の自転車にペダルをかけて、土手に座った。
続けて私も座る。
「・・・ねぇ、私ね・・・、人と違った能力があるの。」
「能力?」
「突然で、ビックリするかもしれないけどね・・・。人が隠してること、見えるの。」
綾部真紀がそう言ったとたん、夜風がふいた。
綾部真紀の黒くて長い髪が、風にのせられたいく。
「・・・例えばね、今のいじめの張本人、吉沢さんは、4組の圭次くんに恋してるけど、
過去に2回も告白して、フラれてるの。この間も1回告白して、フラれちゃったんだ。」
「・・・そう、なんだ・・・。」

ん?待ってよ。

隠し事が見える・・・??

「ねぇ、もしかして・・・、私の隠し事、わかるの?」
「うん。ずっと、12歳のままなんでしょ?」


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