君がいた町


「犬の散歩?」

西尾くんはこっちにきて慣れた手つきでレイを撫でる。

レイも気持ち良さそうに西尾くんにすりよった。


「…うん」


そんな姿を見ながら頷く。


「お前、あんな顔して笑うんやな。」

レイを見つめたまま、彼は言った。


「笑ってるほうがいいで」

ちょっと照れたように笑うその瞳は凄く優しい。


「……」


私は何て答えたらいいかわかんなくて黙りこんだ。



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