君がいた町


「それはあかん、砂月」

ずっと黙って聞いていた西尾が、いつもより低い声で言った。


「なんで……」


「お前は、家族の命を背負ったんや!死にたいなんて絶対言うたらあかん!お前は、家族の分まで生きなあかん!」


力強いその声は、同情の声なんかじゃなかった。


西尾は泣きそうな顔で、握った拳は震えていた。



嬉しかった…


同じ立場で見てくれてるってすぐにわかった。


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